大工から一転、IT企業の社員に!!
会社の心配など、どこ吹く風のナベさんは自身の事業をさっさと畳んで、出社し始めたんだそう。
そして1カ月どころか「一瞬でなじんでしまった」(竹本さん)
しかし、今まで大工として働いていたナベさんにとってそこは全く違う世界。
こうして昭和の荒くれ大工がIT業界に挑むことになったが、右も左もわからない異業種で文化や世代間ギャップの嵐がナベさんを襲う。データ打ち込みの作業で集中するためイヤホンをしながら仕事をしている人のイヤホンをとって「コンチハ!」と言って引かれたり、社内の連絡用チャットツールのレクチャーを受けたがナベさんは理解できず「でぇじょぶだ!」とチャットでの連絡は無視、「インバウンド」「エビデンス」など意識高い系が好んで使う横文字に悩まされる日々。
ついにナベさんは「あぁもうITやだよ~、木目に触れたいよ~」と大工的禁断症状に襲われるようになった。電動ドリルやノコギリの音が聞こえるとフラフラと柵を越えて建築現場の中へ勝手に入って怒鳴られる日々を送っていた。救いを求めてナベさんはマッチングサイトに登録している大工さんに電話をし、大工トークに花を咲かせるということをやっているうちに試用期間の1カ月が過ぎた。
それでも1ヶ月ちゃんと出勤していたんですね。
そしてナベさんの今・・・
日々の業務に疲労困憊し「もう潮時かな…」と思っていたが若手社員から「最近お客さんからナベさんはいないのかってすごくて」と言われた。ナベさんがITから逃れるためにしていた大工トークがお客さんにはぶっ刺さっていたのだ。
ナベさんはまだ開拓できないなかった地方の工務店や大工さんへ熱烈アプローチをしていった。今まで地方では「東京のIT?」と相手ィ(アイティ)にされなかったのが元大工という親近感で契約が次々成立。契約業者数は2000社を突破。
ナベさんは、IT企業に馴染めず会社で使っているツールのslackとgoogleスプレッドシートなどの使い方にも苦労していた。
「ワープロは何とかできるんだけど、(社内チャットツールの)slackとgoogleスプレッドシート、これは大変だった。カレンダーに入力してくださいと言うから自分の手帳に書いたら違う違う、と言われてさ。パソコンの奥にもう一つ世界があるみたいだった」
とナベさんは言います。
そんなナベさんですが
ナベさんは今回の台風被害で現地調査をし、お客さんから職人さんが全然つかまらなくて困っているという声を聞き、地方の業者とその地域のお客さんのマッチングをするプロジェクトを立ち上げ全国の大工さんと復興の手助けをしている。
昨年の台風被害では、家屋の倒壊や浸水などの被害で大工さんをはじめとする職人さんが足らなくて、未だ修繕出来ていないお宅もあります。
そんな現状を何とかしたいと、ナベさん中心のプロジェクトが立ち上がったんですね!