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「この頃は大変いやな風(風邪)が流行する」100年前の少女が語ったスペイン風邪の恐ろしさから見るコロナ禍

2020年5月に入り、各地で緊急事態宣言が解除されていく中、世界中では終息の見込みは全く立たない状況の「新型コロナウイルス」。

しかし、人類にとって「疫病」と闘いは今に始まった事ではありません。

時には、人々の生活や歴史にまでも影響を及ぼす疫病。

今から100年前の大正時代に世界中で大流行した「スペイン風邪」の恐ろしさを記した当時12歳の少女の日記が見つかったという話題を紹介します。

京都市内で見つかった12歳の少女の日記

日記の作者は、野田(旧姓井上)正子さん(1906~98年)という方。

同市下京区の徳正寺に生まれ、旧京都市立高等女学校に通っていた。

同校に入学した直後の1918(大正7)年5月からの4年間を、6冊にわたって書き綴った日記は、正子さんの弟の孫に当たる同寺住職で詩人の扉野良人(とびらのらびと)さん(48)が境内で見つかりました。

試験の事や、遠足の様子など穏やかな日記が最初は綴られていましたが、1918年の秋口からスペイン風邪の流行が全国で本格化し様子が一変します。

迫りくるスペイン風邪の恐怖が綴られていく

親類や知人が次々と倒れ亡くなっていく中、なんと正子さん自らも感染してしまうのです。

〈10月22日〉

この頃は大変いやな風(風邪)が流行するので、先生も父母も私に気を付けよとおっしゃる。

 

〈11月12日〉

この頃新聞を見ると黒枠の広告が沢山(たくさん)ついている。お友達の重田さんのお母さんも8日になくなられたそうで(中略)おくやみに行った。

そして、11月28日には、大好きな祖父までも亡くなっってしまうのです。

「ついこの間、京都へ来られて私とピンポンをしたりして遊んだのに(中略)お茶のおけいこに行くのも忘れて泣いて泣いて泣き尽くしました」

翌年2月、母が知人の見舞いに行った直後、一番恐れていたことが。。

正子さん自身も感染していまいます。

〈2月20日〉

今朝大変のどが痛かったので父が学校を休めとおっしゃったが強いて行った。

 〈2月21日〉

病気で学校を休み一日寝ていた。

その後、病状についての記述が続き、3月10日にやっと登校する。

〈3月10日〉

久しぶりに学校の門をくぐった。先生にお会いして、こんなに長い間休んだら落第になりますかとお尋ねしようと思っていたが、なんだか言いがたかった。お友達から試験のお話を聞けば聞くほど心配が増した。

その後、第1次世界大戦の休戦を祝うちょうちん行列など、多くの人が集まる場所を訪れたことも記載されている。

当時はウイルスに対して感染を防ぐ意識は現在のコロナ禍よりは相当薄かったのだろう。

今回、正子さんの日記を見つけた扉野さんの記憶に残る正子さんは「穏やかでいつも笑顔のおばあちゃん」だそうで、優しく明るいおばあちゃんが記した日記を「日記文学としても価値があるのでは」として全文の書籍化を検討しているそうです。

まとめ

いつの時代も人類はウイルスと闘わなくてはならない運命なのでしょうか。

日記を見つけた扉野さんは「100年前の社会を知ることが指針になる」と仰っています。

「野田正子日記抄」として、神戸市在住の詩人季村敏夫さんが発行する個人誌「河口から」に掲載されることが決定している正子さんの日記。

100年前の少女の日常とスペイン風邪に対する恐怖に触れ、今一度自らを律しウイルスに対する意識を高めていきたいですね。

引用:Yahoo!ニュース