「口座維持手数料」というワードを聞いたことがあるでしょうか。
実は、大手銀行が「口座維持手数料」の導入を検討しているという話題が注目されています。
銀行は私たちの生活に大きく密着していて、自分達の資産を守るためだけではなく様々な生活の場面での決済方法としても欠かせない存在です。
そんな銀行に「口座を持っているだけで手数料を取られるのか?」という疑問について調査しました。
今後、「口座維持手数料」の導入の可能性や今私たちがするべき対策を確認していきましょう。
Contents
口座維持手数料ってどんな手数料なの?
口座維持手数料とはズバリ「口座を維持するための手数料」そのままです。
現在は口座を銀行に開設するのはもちろん無料でできますし、その口座をいつまで持ち続けても無料です。
しかし、顧客が持っている預金口座に対して今後ある一定の手数料を徴収しようではないかと言うのが「口座維持手数料」なのです。
「じゃあ銀行にお金を預けない方がいいのではないか」と思ってしましますよね。
銀行が口座維持手数料を徴収しようとしている理由
銀行が顧客から「口座維持手数料」を徴収しようとしているのには理由があります。
銀行は私たちの預金や貸出金利を運用して成り立っているのですが、銀行の銀行すなわち「日本銀行」が打ち出したマイナス金利によって銀行の運営が厳しくなったことが要因の一つです。
日本銀行はお札の発行の他に「銀行の銀行」としての役割を担っています。
銀行は顧客から集めた預金の一部を日本銀行に預金して、日本銀行から融資を受け顧客に金利を上乗せして貸し出します。
しかし、このような仕組みの中で日本銀行が金融緩和政策としてマイナス金利を適用するとお金を預けた銀行は経営がマイナスとなってしますのです。
しかも現在は銀行が日銀に預けた預金がある一定の限度を超えた場合にマイナス0.1%の金利が付きますが、今後マイナス0.2%になるのではないかといわれています。
金利がマイナス0.2%になれば今より銀行の経営は厳しくなっていきます。
銀行の経営を守るためにも「口座維持手数料」の徴収を検討を始めたのです。
また、1つの口座を維持していくためには銀行は様々なコストをかけています。
顧客のデータ管理や通帳の印紙税で預金口座1つあたり2,000~3,000円のコストが年間かかっているのです。
今まで銀行が負担してきた口座のコストを少しでも顧客に負担してもらって、経営をスムーズに行いたいという狙いもあるのです。
海外の口座維持手数料の実態
実は口座維持手数料は海外では以前から導入されているシステムです。
日本では口座は無料で持てるのもという概念があるので、口座維持手数料を導入すると言われても違和感を覚える人が殆どですよね。
しかし、海外では口座維持手数料を条件に口座開設をしている銀行も多いのです。
海外の銀行の実態を見てみましょう。
アメリカの銀行
アメリカでは口座を持つことに対して毎月手数料が発生します。
Bank of Americaでは毎月12ドルもの口座維持手数料を徴収されるのです。
しかし、これはある一定以上の条件を満たせば免除になります。
- 毎月250ドル以上の振込
- 1日の平均残高が1500ドル以上
- 23歳以下の学生
これらの条件が1つでも満たされれば口座維持手数料を取られません。
フランスの銀行
フランスでは1ヵ月や3ヵ月ごとに口座維持手数料を徴収される銀行が殆どで、年間20ユーロ(約2,400円)の手数料が発生します。
しかもこの過去5年でフランスの銀行の口座維持手数料は3倍にも増えてしまい手数料の高騰が問題視されています。
また、キャッシュカードの発行も日本では無料で出来ますが、フランスでは有料のようですね。
イギリスの銀行
イギリスは日本同様、基本的には口座維持手数料はかかりません。
キャッシュカードで預金を引き出すのも一部ATMを除いて24時間無料で引き出せます。
また他行への振込手数料も無料というから至れり尽くせりです。
ただし、大手銀行が提供している様々なサービスが受けられるプレミアム口座は口座維持手数料がかかってしまいます。
既にある銀行の手数料
口座維持手数料を取られるようになってしまうかもしれないのは、どうも納得いかないと思ってしまいますが、実は銀行には既にある手数料がいくつか存在します。
主なものは
- ATM手数料
- 振込手数料
- 両替手数料
- 再発行手数料
他に、各種証明書の発行などにも手数料がかかることがあります。
ATM手数料
銀行から徴収される手数料の中では一番に馴染みがある手数料です。
各銀行によって様々ですが、概ね銀行が営業している時間帯はキャッシュカードを持っている銀行のATMでの取引なら無料で使用できます。
しかし、時間外や休日、他行のキャッシュカードを使っての取引にはある一定の手数料を取られてしまいますね。
顧客側からしたら「どうして自分のお金を引き出すのに手数料を取られなくてはならないのか」と不満に思う手数料です。
振込手数料
こちらも銀行で振り込みの取引をしたことがある人なら支払ったことがあるでしょう。
振り込む側と振込む先が同じ銀行なら手数料がかからない場合がありますが、同じ銀行でも支店が違うと手数料が発生する場合があります。
振込む際には注意が必要です。
また、店頭の窓口で振り込むよりもATM,またはネットバンクからの振込みの方が手数料が安く済むことが殆どです。
少しでも手数料を抑えた方法で利用したいですね。
両替手数料
両替にも手数料がかかります。
手数料の金額については各銀行によって様々となっています。
両替は枚数によって各銀行で手数料の取り決めがされていて、両替機がある銀行だと店頭で両替するより手数料が安く済む場合があります。
三井住友銀行では両替機で新札への両替も可能で1日1回500枚までは両替機が無料で使えます。
自営業などでない限り、個人で何百枚もの両替をする機会はあまりないかもしれませんが、大量の両替は窓口でも時間を要します。
なるべく手数料の掛からない範囲で両替機で済ませたいですね。
再発行手数料
再発行手数料とは、万が一通帳やキャッシュカードを紛失した場合の再発行の手数料です。
再発行の手続きは店頭で登録されている印鑑を持参して本人確認をして再発行の手続きを行います。
再発行の手続きは行員にとっても手間のかかる取引です。
再発行手数料は銀行にとってのまさに事務手数料といってもいいでしょう。
余計な手数料を払わないためにも、日頃から通帳やキャッシュカードの管理をしましょう。
実はすでに始まっている口座維持手数料?
口座維持手数料とは少し意味合いが違ってきますが、似たような手数料は実は既に存在しています。
「未利用口座管理手数料」といってりそな銀行とローソン銀行がこの手数料を採用しています。
未利用口座管理手数料とは
最後の取引から2年以上、または一度も預入れ・払戻しがない場合に未使用口座として取扱いします、というものです。
2年以上預け入れや引き出しをしないで、口座に動きがないと銀行から顧客に「口座が使われていませんよ」という案内が届きます。
ここで顧客にはこのままだと未使用口座として手数料を徴収しますという案内になっていて、顧客側が「まれはマズイ!」と思って何かしら取引をしてくれればセーフです。
案内が届いてから3ヵ月経過後も取引がないままだと3ヵ月経過後の月末日に毎年1,320円(消費税込)が自動的に引き落とされてしまいます。
口座の残高が1,320円未満になった場合は、残高を未使用口座管理手数料として銀行が徴収し、そのまま自動的に解約となります。
銀行側からしたら、コストがかかる口座を1つでも減らしたいというのが本音でしょう。
口座維持手数料と休眠預金との関連性
「休眠預金」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。
休眠預金はある一定の期間(10年が殆ど)に渡り口座を使用していないと口座が消滅してしまう制度です。
実際は消滅後も銀行は引出しに応じますが、2018年1月より施行された「休眠預金等活用法」によって10年取引がない口座は各金融機関から預金保険機構への移管されて、最終的には国が民間公益活動促進のための休眠預金等を活用することとなります。
休眠預金の対象となった時点で、口座に残高が1万円未満の場合は自動的に休眠預金となってしまいます。
口座の残高が1万円以上の場合は銀行から通知が行きますが、転居などで通知が届かなかった場合は休眠預金となります。
また、銀行はこの休眠預金の手続きを正しく行わない場合は預金保険機構へ違約金を支払わなくてはならなくなるリスクを抱えています。
10年間全く動きのない口座を作らないためにも「口座維持手数料」の徴収を検討しているのではないかとの見方もあるのです。
口座維持手数料導入前に今すべきこと
口座維持手数料を取られないためにも、導入前から準備が必要です。
まだこの先どの段階から口座維持手数料が実施されるかは不明です。
先ずは大手の銀行から導入されて、徐々に地方銀行にも導入が始まるのではないかと予想されます。
しかし、それも今の段階では不明確です。
口座維持手数料が導入される前段階の今は、もう一度自分が持っている口座を見直す絶好のチャンスかもしれません。
口座の整理
口座を複数所有している人は、口座の整理をしましょう。
メインで使っている口座以外で、昔作ったけど使っていない口座はありませんか?
正にそんな口座が「口座維持手数料」の対象になります。
長期に渡って口座を使用していないと「休眠預金」の対象にもなってしまします。
メインの口座ともう使わない口座を区別しておきましょう。
口座の解約
長期に渡って使っていない口座を持っていたなら、要注意です。
このまま放置していると「口座維持手数料」の対象や「休眠預金」の対象となってしまいますので、銀行に出向いて口座の解約をするようにしましょう。
まとめ
一生懸命働いて貯めたお金を預ける場所、銀行。
そんな銀行に大切なお金を預けてあれば安心だという時代はもう終わりに近づいています。
せっかく預けたお金から手数料が引かれてしまっては悲しいですよね。
現在ではキャッシュレス化が進んで銀行の在り方も少しずつ変わって来ました。
顧客は銀行にお金があるから安心ではなくて、これからは自分の資産は自分で守るように自己管理をしていくことが必要となります。
この機会に自分の預貯金を見直してみましょう。